施設運営における現場尊重と最終決定のバランス
施設運営を人の身体に例えるなら、介護・看護部門は筋肉や骨格、事務所は脳にあたります。筋肉や骨格がしっかりしていなければ身体は支えられず、脳が適切な指示を出さなければ身体全体が機能しません。どちらも切り離せない存在であり、相互のバランスが取れてこそ施設は健全に運営されます。
施設長である私は、現場を尊重することの重要性を十分理解しています。介護・看護の現場がなければ、施設運営は成り立ちません。しかし、最終決定は事務所サイドである施設長が行うべきだと考えます。なぜなら、責任を取るのは最終的に施設長であり、その責任を現場に押し付けるべきではないからです。
ただし、この現場尊重と最終決定のバランスが非常に難しい問題です。現場を少しでも尊重しすぎると、現場の意見が最優先されすぎ、逆に最終決定がワンマンになりすぎると、不協和音や業務事故が発生しやすくなります。最近の事例では、インフルエンザやコロナウイルスの感染拡大が良い例です。以前感染拡大を防げたからといって、次も同様に抑え込めると考えるのは慢心です。現場は日々の業務で疲弊しており、時に「楽な方」へと流れてしまうこともあります。
「信じていたら、いつの間にか感染対策がおざなりになっていた」という事態も起こり得ます。現場を信じすぎることは、時にリスクを伴う行為です。現場を信じつつも適切な介入を行い、最終責任を果たす——そのバランスを見極めることが、施設長としての最も重要な役割なのです。